「かつては、中古に対するイメージもあまりよくありませんでした。中古住宅は、新築のように建物のスペックが明かされていなかったり、中古は『新築が買えない人が買うものだ』という風潮があったり、前にどんな人が住んでいたかなど不透明な部分が多かったので、不安を抱くケースもありました。時代背景や中古に対するイメージなど、さまざまな理由が絡み合って新築信仰が定着したようです」

 しかし、時が流れると新築至上主義時代に建てられた物件が“優良な中古住宅”となって再び市場に戻ってきているという。

「リーマンショック前まで、新築マンションは建物のクオリティーで勝負をしていました。そのため、築15年ほどのマンションはとても高品質です。最近は一般社団法人リノベーション協議会がより築年数が古いマンションにも専門家のインスペクション(建物検査)を入れ始めています。専門家によって品質が確認された中古マンションが市場に増えれば、今後より中古マンションの取引が加速すると考えられます」

 春田氏は、現在の住宅市場について「ユーザーの選択肢が増えたと捉えている」と語る。

「もちろん新築志向のユーザーも一定数います。新築神話の崩壊というよりは、これまで新築に一極集中していたニーズが、中古住宅にも分散された印象です。また近年は、フリマアプリが人気を博していることから“中古そのもの”に対する抵抗感も薄れてきています。当社のユーザーからも『住んだ場合のメリットとデメリットが事前にわかれば、中古でも気にならない』と話す方も多いです」

「中古リノベ物件は売れない」
という定説が覆りつつある

 住宅の選択肢の広がりはニーズの多様化にもつながっている。特に中古住宅の希望者は“自分らしさ”を求める傾向があるという。