結果的に目標の50%には達していないものの、自給率が30%台で推移し、わずかながら上昇する傾向にあるのはこのような努力が奏功しているともいえる。

 また、2011年には森林法を改正し、この再生プランを後押しし始めている。林業従事者の若年者率(35歳未満の割合)が2015年に17%まで増加してきているのも明るい材料といえる(ただし全産業平均の若年者率24%とは依然として7ポイントの格差がある)。

豊富な資源を有効活用する
サプライチェーンの再構築が急務

 言うまでもなく、世界的に木材需要が増加するとともに資源ナショナリズムも高まっており、為替動向も含めて木材輸入は将来にわたって安定的に確保されているという状況にはない。

 むしろこのウッドショックを契機として、木材価格の高騰が常態化する可能性も取り沙汰されており、長期的に見れば住宅価格にも大きな影響が出てくることは避けられない。

 したがって、国内産業としての林業の拡充と収益の確保が可能となって初めて、ウッドショックの脅威から免れることができるようになるのではないか。換言すれば、ウッドショックとは長年にわたって安価な海外からの木材に頼っていた建築や土木などの産業構造がもたらしたものとみることができるだろう。

 国内の木材を化石資源の代わりにエネルギーとして活用し、地球温暖化防止に貢献することや低炭素社会づくりを進めることなど、木材利用の拡大に対する期待が高まる機運を捉え、林業に携わる従事者を育成し徐々に増やすことが、今後のウッドショックを回避する唯一の処方箋だ。林業や建築・土木、住宅産業にとって、コロナ禍を“災い転じて福となす”とすることができるかどうかが問われることになる。