第1位は、やはりこの1冊
――では、最後にベスト1を教えてもらえますか?
ひろゆき氏:これは、何度も同じ話で申し訳ないんですが、やはり『銃・病原菌・鉄』ですね。もう圧倒的に。
この本のおかげで、「人類がどうやって生き延びてきたのか」がわかり、いま日本人がどういう生き方を決定づけられているのかが学べます。
よく言われるのは、「日本人はリスクを怖がりがち」という話なんですが、それはアフリカ大陸やヨーロッパ大陸にいた人類が、長い年月をかけて東へ東へと逃げて行った人種だからからですよね。
一方で、アフリカ人やアメリカ人は、リスクをとることがわりと平気だと言われています。もちろん日本人の平均と比べた場合ですが。
そういう壮大な知識を、科学的な根拠を元に教えてくれる本です。まさに一生モノの本です。
――他にも文化人類学の本はたくさんあると思いますが、やはり『銃・病原菌・鉄』がベストなんでしょうか?
ひろゆき氏:そうですね。たとえば、話題になった『サピエンス全史』なんかも読んでみて、もちろん悪くなかったんですが、やや人文学的な解釈が多かったんですよね。
人類が進化してきたのは「共同幻想があったからだ」と書かれているんですが、その根拠が少し弱く感じました。人類以外の生物や動物が物語を持っている可能性だって、ゼロではないですし、確かめようがなかったりしますから。もちろん良書だと思いますけどね。
ひろゆきが考える「出版のこと」
――なるほど……。ちなみに、ひろゆきさんにとって「本」や「読書」は、これからどうなっていくと思いますか?
ひろゆき氏:出版業界は衰退していくと言われていますが、僕はそんなに悲観的に見ていないんですよ。一定数、「情報にお金を支払う人」は残り続けると思いますから。
だって、長い歴史の中で、「知識の伝達」は、99%が「文字」ですからね。それに、人が書いたものを読むのはひとつの「体験」です。「体験」にはさまざまな種類がありますが、結局はどれもなくならないですよ。
ただ、ここで1つ重要なのは、「質のいい情報が儲かるわけではない」ということですかね。ほら、国の教育機関が作ったまともな動画より、赤ちゃんのハプニング動画のほうが再生回数が稼げて、お金も儲かるじゃないですか。それと似たことは、どの業界でも同じ構図で起こります。
だから、稼ぎにくくなって業界の縮小と再編成が起こるのは間違いないと思いますが、「ゼロ」にはならないでしょうね。なので、どうか生き残ってくださいね(笑)。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、24万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。