おいしいものでも、
食べ方を間違えたらおしまい

 グルメ通販で扱っていたカニは前述のとおり、ゆでてから冷凍したものだ。

 するとお客様から、「おいしかった」「まずかった」と両方の声がメールで届いた。

 もちろん、個人で味覚差はあるだろうが、「まずい」が一定数いるのはおかしい。そこでお客様に食べ方を聞いてみた。

 すると、冷凍のカニを鍋でゆでている人が多かった。

 これは2度ゆでといって、身がボソボソになり、うまみが台無しになる。

 冷凍のカニをゆでたり蒸したりすると、急激解凍によってカニの細胞が壊れてしまう。電子レンジで解凍する人も多かったが、それでは身の中で凍っているうまみやエキスが流れ出てしまう。

 おいしい食品を送って終わりではない。

 おいしいものでも、食べ方を間違えたらおいしくない。

 お客様は満足しないのだ。

 お客様が間違った食べ方をしないよう、一つひとつの商品に本書164~165ページのように、あえて「素人臭さ」を残したデザインにした「かにしゃぶ虎の巻」のようなマニュアルを同封した(本書写真1)。

 お客様は商品に同封されたきれいな印刷物には目を通さない。

 よって手書き風の文字や吹き出しなどの違和感で注意喚起した。

 それ以降、「まずい」というメールがくることは極端に減った。

 これが現在の健康食品、化粧品の「使い方マニュアル」に活かされている(本書写真2)。

「このカニ、足が8本しかないよ。足の取れたカニを売るんじゃないよ!」へのスマートなクレーム対応法

 特産品の通販サイトをやっていた頃の当社のキャッチフレーズは、「おいしかったと言っていただけるまでが仕事です」だった。

 よいものをつくって終わり、送って終わりではないのだ。