あらゆる点を考慮すれば、サウジアラビアがこれまで「OPECプラス」の会合で主導権を握り続けてこられたのはすごいことだ。だが、同国が支配を緩めるときが来ているのかもしれない。1日に開催予定だった石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」の会合では、8月からの日量約50万バレルの増産が広く予想されていた。だが、以前からすぐにでも増産したくてたまらなかったアラブ首長国連邦(UAE)の反対によって会合は暗礁に乗り上げ、新たな日程も決まっていない。UAEが難色を示す理由は複数ある。エネルギー・エコノミストのフィリップ・フェレーガー氏の分析によると、UAEは生産能力に対して供給量を抑制している割合が他国よりも大きい。UAEは近年、生産能力増強のために多額の投資を行っている。また、底流に地政学的な事情があるのはいつものことだ(今回の分裂の背景には、UAEがイスラエルとの国交正常化を決定するなど、UAEとサウジアラビアがいくつかの点で意見を異にしていることがある)。