7月14日、衆院内閣委員会の閉会中審査で答弁する経済再生担当相の西村康稔。西村発言の波紋がなお収まらない7月14日、衆院内閣委員会の閉会中審査で答弁する経済再生担当相の西村康稔。西村発言の波紋がなお収まらない Photo:JIJI

 経済再生担当相の西村康稔が発した酒類の提供停止を巡る発言の波紋がなお収まらない。西村発言が菅義偉政権の構造上の問題、ひずみを浮かび上がらせ、東京五輪開催を間近にして政権の土台を揺さぶる。発端は菅が東京都に再び緊急事態宣言を発令することを明らかにした7月8日西村の記者会見だった。

「休業要請に応じてもらえない店について、こうした情報を金融機関に対してしっかりと共有しながら順守の働き掛けを行ってもらう」

「酒類販売事業者に対しては応じてもらえない店舗との取引を停止するよう要請を行う」

 つまり西村はここで二つの政府の方針を明らかにした。酒類の提供停止に応じない飲食店に対する「金融による締め付け」と「酒類販売業者への取引停止要請」だ。いわば酒の提供をやめない飲食店に対して“兵糧攻め”にする狙いがあったとみていい。

 しかし、一夜明けると、野党はもとより自民党内からも批判が噴出した。休業で大きなダメージを受けている飲食店を中心に、政権への不満が爆発した。西村は酒類の提供停止に関して真面目に取り組んでいる事業者との不公平感の解消のためと説明したが、火の手はさらに広がった。

 これに敏感に反応したのが自民党国対委員長の森山〓(もりやま・ひろし、〓はしめすへんに谷)だった。9日午後、自民党本部の幹事長、二階俊博の部屋に駆け込んだ。

「西村大臣の発言に対して世論が沸騰しています」