顔認識システムは、従業員やホテルの宿泊客などさまざまな人々の身元を認証する迅速かつ信頼できる手段だとうたわれてきた。だがこのところ不正行為の温床となっている。研究者たちはこの技術の脆弱性について何年も前から警告を発してきた。最近見られる不正なスキームは、その懸念を裏付けると共に、改善に向けた困難だが必要な課題を浮き彫りにしている。身元認証会社アイディーミーによると、米国ではこの1年間、顔を使ったID認証システムを欺くことで、州の労働機関に失業保険給付金を不正に申請しようとした人が大勢いたという。全米26州で身元認証を支援している同社によると、2020年6月~2021年1月に政府のID照合システムで自撮り写真を偽っていたケースが8万件余り見つかった。同社のブレイク・ホール最高経営責任者(CEO)は、特別なマスクをつけたり、ディープフェイク――人工知能(AI)が生成した本物そっくりの画像――を使ったり、他人の画像や動画に差し替えるなどの例があったと話す。
顔認識技術、次のネット犯罪の標的に
「合成アイデンティティー詐欺」と呼ばれる金融犯罪の一種が急増中
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