今後建て替わるであろうヴィンテージマンション

 マンションは立地が一番である。それも、乗降客数が多い駅との直結、1分が最強であることは説明した通りだ。今後出てくるそうしたマンションは、現段階でも想定されるので二つ紹介しておこう。

 一つは、東京メトロ表参道駅直結徒歩1分の「南青山第一マンションズ」だ。東日本大震災の際に私の知り合いがこのマンションに偶然居合わせたが、怖いくらい揺れたので慌てて外に出たと言う。

 築51年になるこのマンションは、表参道駅の出口が入り口になる。建て替え後は、地上22階、総戸数263戸のタワーマンションに変貌する。街としての品の良さは表参道駅周辺に勝る場所はないと私は思っている。そして、南青山が低層の住宅地であることから、眺望はどちらを向いても素晴らしいことは想像に難くない。そんな駅直結タワーマンションが建つのだから、坪1500万円を下らない単価になるのではないかと想定している。私はその単価でも、ここは目をつぶって買って損はしないと説いている。

 もう一つは、JR原宿駅徒歩1分の「コープオリンピア」だ。1965(昭和40)年当時の分譲価格が最高で1億円を突破したことから、いわゆる「億ション」の第1号でもある。名称は、前回の東京オリンピックが前年に開催されたことによる。建て替え計画は、5分の4の賛成が得られていないために確定はしていないが、築年数が56年に及ぶことから、建て替えは遠くない将来と思われる。

 原宿駅近くは、竹下通りなどの若者の街の印象が強いが、表参道から続く明治神宮への参道に位置し、東京でも有数の広さの代々木公園、オリンピック関連施設(特に、丹下健三設計の国立代々木競技場 第一体育館が圧巻)、要人の邸宅街と由緒正しい稀少立地である。建て替え計画次第では、上記の表参道と同等の単価設定になるであろう。

 このように、好立地で建て替わる「新築ヴィンテージマンション」は別次元の資産価値を有している。資産価値ゆえに、自宅でも、セカンドハウスでも、投資でも、相続対策でも、資産家にとっては使い勝手がいい不動産となる。

 刷新されていく東京の中で、個人が手に入れることが唯一可能なものであるのが区分所有のマンションなので、今後も建て替えニュースは注目しておいて損はないと思う。