20万部のベストセラー待望のマンガ版『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が発売された。前作で「転職は悪」という風潮に一石を投じ、日本人の働き方を変えた北野唯我氏が、今回は「自分にはキャリアの武器が何もない」と思っている主人公の奈美(もうすぐ30歳)の悩みに答えを出す。「やりたいことがなければダメ」「S級人材以外は有利な転職は無理」など転職の常識が次々と覆される。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

30歳「やりたいことがない人」が向いている仕事を選ぶ方法Photo: Adobe Stock

「やりたいこと」はなくてもいい

 人には、2種類のタイプがあります。

「何をするか」に重きをおくto do型の人と、「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」を重視するbeing型の人です。この2つのタイプは、仕事に対する意識も異なります。

 to do型の人は、「世の中に変革を起こす」「会社を大きくする」などと、仕事の楽しみをto do(コト)で語ります。

 being型の人は、「尊敬できる人のもとで働く」「プライベートも充実させる」「周囲の人に喜んでもらう」などと、being(状態)を重視します。

「何をするか」にこだわるto do型の人は、明確な夢や目標を持ち、やりたいことを見つけて突進していきます。たとえば、「心からやりたいことを見つけろ」とか「無理だと思ってもチャレンジしろ」といった成功哲学を発信している人の多くがto do型の人です。

 では、being型の人も、to do型をめざせばよいのでしょうか?

 答えはNO。めざす必要もなければ、「やりたいこと」も持たなくていいのです。

 実際のところ、働く人たちの99%はbeing型です。そして、being型にとっての幸せは、to do型のそれとは異なります。ですから、「心からやりたいことを見つけなければいけない」という幻想にとらわれる必要はありません。

 being型の人が日々の仕事に価値を見いだせるかどうかは、次の2つの条件のクリアが鍵となります。

条件1:マーケットバリューを高めること
条件2:自分を信頼すること

 1つめのマーケットバリューの高め方については先ほど説明しました。2つめは自分への信頼です。being型の人は、仕事をしていく中で、自分に対して小さな嘘をついてしまいがちです。たとえば、内心、価値があるとは思えないものを売ったり、賛同できない周囲の意見に流されたり。これらはすべて、自分に対する嘘です。嘘をゼロにすることは無理かもしれませんが、小さくしていくことは可能です。自分を信頼できるようになると、仕事の手応えに変化の兆しが見えてきます。

(※この記事は、『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』からの抜粋です。)