人に迷惑をかけ、自分が痛い目に遭わないために

 車であれば、最低限のリテラシーを身に付けるため、運転するには免許を取得する必要があります。もし、免許なしで誰でも運転できるようにしたら、交通事故が多発することは予測できるでしょう。

 デジタルツールも同様です。アプリやサービスの提供者は誰でも利用できるように分かりやすいインターフェースを作ろうとしていますが、それでもデジタルリテラシーがなければ使いこなせません。単に使いこなせない、だけであればいいのですが、間違った使い方をするとさまざまなトラブルを引き起こします。

 使う人のリテラシーが低いと、車であれば人身事故を起こしてしまいます。包丁などの刃物であれば、人にけがをさせるかもしれません。同様にデジタルでも、使う人のリテラシーが低いと、詐欺の被害に遭ったり、個人情報が漏洩(ろうえい)したり、金銭を盗まれてしまったり、という可能性があるのです。

 パスワードを適当に付けて不正アクセスされたり、不用意な発言をSNSに投稿して裁判沙汰になったり、ネット詐欺にあって貯金を失ったり、恥ずかしい性的嗜好(しこう)を全世界に公開したりする前に、デジタルリテラシーを身に付けましょう。

 デジタルリテラシーを向上させれば、インターネットやPC、スマホなどの恩恵を最大限に、そして安全に利用できます。我々、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS=ドリス)は、デジタルツールやサービスを安心安全に使えるように、デジタルリテラシーを向上するための啓蒙活動を行っており、ネット詐欺被害防止や誹謗中傷撲滅から、iPhoneの使い方講座まで幅広く情報を発信しています。

 本連載「大人のデジタルリテラシー向上講座」ではDLISの活動の一環として、デジタルリテラシーの基本を紹介していきます。ささいな行動や設定ひとつで、人生を揺るがすほどの被害を受けてしまうのがインターネットです。ぜひ、デジタルリテラシーを向上させ、自分の身は自分で守れるようにしましょう。