スポーツ名門校として有名な神奈川県の桐蔭学園高校と桐蔭学園中等教育学校では、ボーナス減額が不当であるとして、教職員組合が学校法人と法廷闘争を繰り広げている。この裁判に関連し、県労働委員会は学校法人の一部行為が不当労働であると判断した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
不当労働の陳謝文を
県労働委が学園に命令
ラグビーや硬式野球などのスポーツ名門校として知られる神奈川県の桐蔭学園高校と桐蔭学園中等教育学校。両校の教壇に立つ教師45人(うち追加提訴2人)と教職員労働組合は、学校法人の桐蔭学園に対して未払い賃金等約1600万円の支払いを求め、横浜地裁で法廷闘争を繰り広げている。
学校法人は財政難を理由に、2020年冬季以降のボーナス(賞与)の水準を引き下げ、入試手当は廃止した。これに対し、教師らは長年の労使慣行などを盾に「不当で無効だ」と主張しているのだ。
提訴したのは今年2月。裁判に先だって教職員労組は19年11月、県労働委員会に救済を申し立てた。労働委員会とは労使紛争を迅速かつ円満に解決するために設置された行政機関。各都道府県庁と国(国の場合は中央労働委員会)に事務局があり、紛争の調停・仲裁や不当労働行為の審査を行う。
教職員労組が申し立てた内容は、賞与水準引き下げなどを決定する過程で、労働組合法上の不当労働行為を受けていたというものだ。
県労働委員会は今年7月末、この申し立てを部分的に認めた。学校法人の行為の一部が「組合に対する支配介入」「誠実交渉義務に反する」と判断し、学校法人に陳謝文の交付を命じた。
不当労働があったという判断を受け、学校法人と教師のバトルは今後どんな展開になるのか。