リモートワークが進み、社員のエンゲージメントの維持・向上が企業にとって大きな課題となっている。そうした中で、「遊び」を通じて深い相互理解と学びを生みだすオンライン研修サービスで、大企業からひっきりなしの依頼を集めているのが2013年設立のスタートアップ、プレイライフだ。コロナ禍にありながら、事業拡大のための資金調達に成功し、さらには2023年の上場を目指すという同社のビジネスモデルと、その先に広がる新市場を探る。(聞き手・構成/ダイヤモンド社 音なぎ省一郎)
人と人、社会、企業をアソビでつなげる
プレイライフのウェブサイトを開くと、真っ先に目に飛び込んでくるのは「人生はアソビでできている!」「この世から孤独を無くす」のメッセージ。そして、少し下にスクロールすると、「アソビでつながる、アソビと学ぶ、アソビと生きる。」と続く。これらの言葉が同社の全てを語っているといってもいいだろう。同社のコンセプトワードとなっているのが、この「アソビ」である。
『広辞苑』で「あそび」を調べると、遊戯や娯楽など一般的な「遊び」の他に、「機械などの部材間・部品間に設ける隙間」とある。“ハンドルの遊び”などがそうだ。衣服も体にぴったり過ぎると、体を動かしづらくなるように、遊びは自由に動くために必要なゆとりともいえるだろう。
翻って私たちの暮らしはゆとりを失いがちだ。仕事においても、ノルマや人間関係に悩み、心を病む人は少なくない。さらにコロナ禍の影響でテレワークが導入され、孤独化が進んでいる。そんな社会において、同社は積極的に「アソビ」を展開し、人や体験、感動、幸せとの出会いとつながりをサポートする。個々人の抱える孤独感を癒やし、生活にゆとりを取り戻す。こんな試みを事業化しているのだ。
同社が最初に注目を集めたサービスは、現在、月間400万人が利用する「PLAYLIFE」。ユーザーが実際に体験したアソビのノウハウを、観光スポットと飲食店を組み合わせるなど、1日の過ごし方をトータルにプラン化して投稿し共有できるようになっている。一般ユーザーは目的や場所、予算ごとにアソビ情報を検索でき、LINEやフェイスブックを通じて仲間を誘うこともできる。他社からも類似のサービスが提供されているが、投稿者の実名制を取っているところは少ない。その信頼性の高さが特徴となっており、投稿プラン数は日本全国で1万件を超える。
また、2019年8月には、日本初のアソビのサブスクリプションサービス「遊部(アソブ)」の提供を開始した。「アソビ、学び、つながる」をテーマに、寿司部、釣り部、BBQ部、ダンス部など10前後の部が活動していて、各部のさまざまな体験のプロが部長となってイベントを開催。イベントには有料会員でなくても参加可能だが、参加費は会員の2~10倍程度に設定される。単発の参加に終わらず、参加者同士がつながりを持てる場として機能することを意図したものだ。さらにコロナ禍を契機に、リアルだけでなく、オンライン体験できるアソビの提供にも力を入れている。