ドイツが世界の科学技術強国になった理由を中国が分析

 中国の経済メディア「智谷趨勢」が8月1日に発表した記事では、中国科学技術発展戦略研究院の論文が紹介されていて、ドイツが世界の科学技術強国に至った経緯について述べられている。それは次の4つの方法だ。

 一つ目の方法は、(1)3年間の職業教育を含む12年間の義務教育制度を実施し、中等技術教育の発展を推進すること、(2)教育と研究を組み合わせた高等教育体制を重視すること、(3)デュアルシステム(学校教育と職業教育を進める教育システム)を取り入れて、企業と職業系学院がともに責任を負って実用的な人材を育成することだ。

 二つ目の方法は、品質立国を推し進める上で重要な取り組みを進めたこと。つまり、大企業をよりどころとする工業実験室、技術基準を重視し、「匠の精神」を奨励して「隠れたチャンピオン」をつくることだ。

 三つ目の方法は、商品、資本、労働の流動を加速し、地域と業界の独占を打破し、市場の障壁を取り除くとともに、「国家独占資本主義は国と民族の強大な競争力を結集するための主要な保障である」と主張したことだ。

 四つ目の方法は、先見性があり実務的な発展戦略とその道筋を決めたことだ。

中国とドイツの類似点とは

 さらに前述の記事は、中国の改革措置とドイツの発展の道の3つの類似点についても紹介している。

 第一に、最近の教育分野での一連の大きな動きだ。学校外の教育機関に対する規制を進めたのは、教育の公平と長期的な人口戦略に資するものだ。キャリア教育がより重視されており、中卒者の40~50%が専門学校への進学を望んでいるのは、「ものづくり強国」に向けた人材をもたらす。

 第二に、企業の科学研究をより重視することだ。工業化のキャッチアップ期、中国は技術者の育成にいっそう力を入れて、問題解決ができれば、買ってきた技術でもいいと考え、基礎研究をおろそかにした。政治局会議は「基礎研究の強化」を明確にしており、将来的にはエンジニアだけでなく、「首根っこを押さえている」問題を解決する科学者をより多く育成しなければならない。

 第三に、独占禁止を強化して「巨大企業」を規制するのは、中小企業により公平な競争環境を提供することでもある。

 なお、中国の政策文書には、職業教育についての言及があり、ドイツの教育制度の利点を取り入れていることがわかる。