メンタリストのDaiGo氏が自身のYouTubeチャンネルで行った差別的発言が批判を集めており、同氏は謝罪した。問題の発言の中で注目されているのが、行き過ぎた「動物愛護主義」の一面である。動物愛護といえば、江戸幕府の5代将軍・徳川綱吉が発布した「生類憐みの令」が思い出されるが、実は悪名高いこの法には知られざる「本質」がある。(歴史学者 濱田浩一郎)
極端な動物愛護、“天下の悪法”
「生類憐みの令」の知られざる一面
メンタリストのDaiGo氏が、動画投稿サイトYouTubeで行ったホームレスの人や生活保護受給者に対しての差別的発言が批判を集めている。私はその動画とそれに関連する動画(同氏が自らの発言についてその真意を語ったもの)を視聴してみた。
彼の今回の一連の動画を見て、私はDaiGo氏に愉快犯的な印象を抱いた。いろいろと批判しても「それは軽口(辛口)で言った」とか「それを真に受けるなんて」と逃げられて終わりである。要は、言論に骨がないのだ。だから「炎上目的?」と思うくらいがちょうど良いのかもしれない。そう思うことが解毒につながるであろう(もしくは彼の動画を見ないのも良いだろう)。
また、彼の問題の発言で気になったことは、極端な動物(猫)愛護主義ということである。「生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい」などの発言がそれを示している。動物をかわいがることは良いのだが、ここまでくると「ちょっと…」と私は感じた。
動物愛護と聞いて思い出すのは、江戸幕府の5代将軍・徳川綱吉(1646~1709年)が発布した生類憐みの令である。同令は、犬猫などの動物を極端に保護する政策として有名であるが、実はこの法は、動物のみを対象にしたものではない。捨て子や病人、傷病者など弱き人々(人間)をも包み込み、保護するものであったのだ。