大手私鉄15社の第1四半期決算が出そろった。新型コロナの感染拡大から1年が経過し、各社の経営はどう変化したのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
大手私鉄15社で
9社が最終黒字に
大手私鉄15社の第1四半期決算が出そろった。新型コロナの感染拡大から1年が経過し、各社の経営はどう変化しているのか。前回のJR本州3社の決算に引き続き、大手私鉄の動向を見ていきたい。
その前に、前回の記事について一部訂正したい。JR東海について「東海道新幹線の損益分岐点は、利用状況でいえばコロナ前の4割程度であるようだ」と記したが、年度を通して実施する大規模な修繕工事などは、年度末にかけて竣工のうえ決算されるため、費用は四半期ごとに4等分されるのではなく、第4四半期の費用が他の四半期と比較して大きくなる傾向がある。
これを計算に含めていなかったため、正しい数値ではなかった。JR東海と読者におわびしたい。JR東海は7月末に今年度の業績予想を下方修正し、運輸収入は8200億円、当期純利益は120億円を見込むと発表した。これは2019年度の運輸収入13656億円の6割程度の水準であることから、「東海道新幹線の損益分岐点は6割程度と推定することができる」と訂正する。
本題に戻ろう。大手私鉄15社のうち、第1四半期の純利益が黒字になったのは9社、赤字になったのは6社だった。