イーロンを取り巻く壮大な目標と
1ミクロンの設計
両極にある2つの思考をバランスさせ、実行するイーロンの能力は、「壮大な目標」と「日常の業務」にも表れている。
テスラで「世界中のクルマをすべてEVに置き換える」とイーロンは大きな目標を掲げ、1億台(10の9乗)のEV生産を目指すと公言している。
だが、その一方で、高級EVセダン「モデルS」の開発ではドアノブのミクロン単位(10のマイナス6乗)の設計にまで注文をつけていた。
また、3万5000ドルのEVモデル3が量産立ち上げでつまずくと、製造ラインに入って工場で寝泊まりし、問題解決に奔走していた。
スペースXでは「火星に人類を移住させる」と壮大な目標を掲げていたかと思うと、ロケットエンジンの水圧実験の現場に立ち会い、亀裂が入ったエンジンの冷却部分に自分でエポキシ樹脂を注入して、効果を確かめようとしたこともあった。