「本当に欲しい」就活情報が手に入る、リモートOB・OG訪問の気になる中身他では得られない情報やアドバイスが手に入る、リモートOB・OG訪問とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍で募る就活生の不安
必要な情報をどこから得るか?

 現代の就職活動(以下、就活)はまさしく情報戦の様相を呈している。企業の採用選考の時期が早まり、選考プロセスがバラバラとなった今、就活生にとっては、自分が就職を希望する業界や企業の情報をどれだけ知っているかが、結果に大きく影響するようになった。

 とはいえ、情報を何でも集めればいいというものではない。ITツールの発達で就活のデジタル化が進み、全ての就活生が同じ情報を瞬時に取得できるようになったため、ライバルに差をつける「本当に欲しい情報」を得るためのハードルは、以前と比べて高くなっている。

 昨年から続くコロナ禍が、そんな状況に追い討ちをかける。大学のクラスメートや企業の説明会を通じて就活の情報を得る機会まで失い、かつてない不安を感じる学生が溢れている。本人たちはもちろんのこと、こうした状況は、息子や娘の就活を見守る保護者(親)にとっても、気が気ではないだろう。

 そんな就活生たちにとって、注目すべき試みが足もとで行われている。筑波大学および大学院の卒業生と現役学生が交流を深める「OB・OGキャリアカフェ」というイベントだ。そこでは、OB・OGたちが後輩の学生に対して、一般の企業説明会では聞けない社会人としての生の声を伝え、学生時代の経験なども踏まえて、様々なアドバイスを行っている。

 2019年から始まった「OB・OGキャリアカフェ」は、筑波大学及びその前身の諸学校の同窓会組織、一般社団法人茗渓会(めいけいかい)が主催している(共催は大学就職課)。企画立案したのは、同会の理事で自身も筑波大OBである、採用アナリスト・コンサルタントの谷出正直氏。谷出氏は、「学生と共通点のある卒業生とのキャリア相談は、通常のOB・OG訪問より中身が濃いものになる。迷っている就活生たちの進路を可視化する役割を果たしたいのです」と意気込みを語る。

 今年の開催日は、7月8~11日の4日間。以前は筑波大学構内のカフェにおいて対面式で行われていたが、コロナ禍を受け、昨年に続いてZOOMを使ってのオンライン開催となった。参加学生は、就活に直面している大学3、4年生ばかりでなく、1、2年生や大学院生までを含む全学年で延べ237名に及んだ。またOB・OGは、金融、IT、コンサル、マスコミ、起業家、公務員(国家、地方)、教員、研究者といった幅広い業界・職種で活躍する卒業生や外国人留学生の卒業生など、過去最多の54名が参加した。