オンライン上には時間ごとに、各OB・OGのブレイクアウトルームが設けられており、学生たちははじめに集合したメインルームから、それぞれ興味のあるルームへと移動していく。そこで、1回あたり40~50分にわたって質疑応答が行われる、という流れだ。やり取りされるのは、学生が「本当に欲しい情報」である。

 コロナ禍で採用市場の視界不良が続く中、就活生たちは今、どんな課題を感じ、どのように動こうとしているのか。「OB・OGキャリアカフェ」当日に取材した、彼らの生の言動をお伝えしよう。

学生に大人気の意外な仕事とは?
知名度にかかわらず注目される企業も

 まず、どんな業界で働く卒業生が学生に注目されているのか。

 今回、目立って多くの学生が集まったのは、人事院、茨城県庁、熊本県庁といった、公務員のOG・OBがいるルームだった。1つのルームに20人以上の学生が集まったケースもある。筑波大学はもともと卒業生に教員をはじめとする公務員が多いが、コロナ禍で学生の安定志向や社会貢献への興味が強まり、より注目度が高まったと思われる。公務員は事前に試験があることがわかっているので、早くから行動する必要性を想像しやすいという理由もあるのだろう。

 次に人気があったのは、学生がイメージしやすい企業や業界で働く卒業生のルーム。コーセー、ケンコーマヨネーズ、日立製作所、ソフトバンクなど、メーカー(化粧品・食品・電機)や通信業界に学生が集まった。これらの企業の多くはBtoC向けのCMや広告に力を入れているため、もともと学生の認知度は高い。まずは、知っている企業や業界から情報収集をしていこうという価値観がわかる。

 また、NHKや電通などのマスコミ、日本総合研究所やEYストラテジー・アンド・コンサルティングといったコンサル企業の人気も、昨年に引き続き高かった。

 一方で興味深いのは、化学・日用品メーカーのサラヤのように、一般の学生にはそれほど知名度が高くないと思われる企業にも注目が集まったケースだ。これには、PR手法の妙もある。