「OB・OGキャリアカフェ」では、卒業生の情報として、出身学群(学部)、卒業年、業界、部署・役職、仕事内容などに関する情報を学生に公開している。それ以外に、一文当たり20字以内の情報をハッシュタグを使って自己紹介してもらったという。その内容がキャッチ―で学生の興味、共感を惹いた卒業生ほど、多くの学生が集まる傾向が見られたのだ。

 たとえば「理系だけど非研究職」と投稿した卒業生には、一般的に知名度のある企業よりも多くの学生が集まった。「なぜ?」「どうして?」という質問の呼び水になりそうなキーワードが、学生に話のきっかけを与えるのだ。

「せっかくの機会なので、より多くの卒業生と学生が触れ合える機会をつくりたい。そのきっかけとして、企業名や業界・職種以外の情報、共通点や共感できる情報を伝える必要があります。今の延長線上にだけキャリアがあるわけではないこと、1人ひとり選ぶキャリアが異なるということに、気づいてほしいのです」という谷出氏のアイデアが、奏功したのである。

学生とOB・OGが
本音で語り合える強みとは

 次に、学生から卒業生への相談には、どんなものがあったのか。

 企業のOB訪問のような堅苦しさがないこと、初対面とはいえ同じ大学の先輩・後輩という気安さがあることから、「どうやって自分に合った会社を見つけましたか?」「面接では、どうすれば好感を持ってもらえますか?」「学生時代に取り組んだ経験が、社会人になって活きたことって何かありますか?」といった、ざっくばらんな質問が多かった。コロナ禍の影響か、「就職を見合わせて、大学院に行くほうがいいですか?」という質問もあった。

「OB・OGキャリアカフェ」での話は、学生・卒業生とも口外しないというルールがあるので、学生は本音で質問ができるし、卒業生も本音で回答を行う。

 こうした場面では、自分の経験から普遍的な教訓を導き出して、学生にわかりやすく伝えられる卒業生は人気がある。以前、テレビ局でアナウンサーをしている卒業生が、プライベートでやっていた演劇がアナウンスの仕事にどう生かされているかを語って、人気だったという。単に面接ノウハウを教えるだけでなく、学生と同じ目線の話題と仕事を結び付けて語れる人に、学生はよりシンパシーを感じるようだ。