相続税がどれくらい減るか、徹底検証!

 1億円の財産を持っているA男がいたとします。A男には配偶者はおらず、子どもが1人だけいたとします。

 この場合、A男が亡くなり相続が発生すると、相続税は1220万円発生します。この1220万円の計算は、まず1億円から基礎控除3600万円を引き、残りの6400万円について、1000万円までの部分は10%(100万円)、1000万円超え3000万円までの部分は15%(300万円)、3000万円超え5000万円までの部分は20%(400万円)、残りの1400万円(5000万円超えの部分)は30%(420万円)の税率で課税され、それを合計すると100万円+300万円+400万円+420万円=1220万円となります。下図を見てください。

贈与税を払ったほうがトク! 相続税を1円でも減らすノウハウ

※6400万円×30%-700万円=1220万円という計算式でも求められます。

 では、皆さんにここでクイズです。もしA男が亡くなる前に、100万円を子どもに贈与していたとしたら、A男の相続で発生する相続税はいくらになるでしょうか(3年内加算はないものとします)。

 ここは大事なポイントなので、ぜひお時間をとって考えてみてください。

 正解は1190万円です。1220万円から30万円減少する形になります。順を追って解説します。

 まず1億円の財産を持っていたA男が100万円を贈与したら、贈与した後の財産はいくらになりますか。これは簡単ですね。1億円から100万円を引いた9900万円です。

 ではもう一度、下図を見てください。100万円の贈与をすると、この図の箱の形はどのように変化しますか?

贈与税を払ったほうがトク! 相続税を1円でも減らすノウハウ

 箱の上の部分が削られて小さくなります。下図を見てください。ここがポイントです!

贈与税を払ったほうがトク! 相続税を1円でも減らすノウハウ

 削られた部分は、相続税が最も高い税率(30%)で課税される部分です。今回のケースでは、30%で課税される部分が100万円分減りましたので、将来発生する相続税も30万円(100万円×30%)減ります。

 そして、100万円の贈与は110万円以下のため贈与税は課税されません。結果として、100万円の贈与をすると、30万円得することになりました。