近年、会社や事業を取り巻く経済環境の変化が激しくなったことで、素早い決断や行動がこれまで以上に求められる時代になった。いつまでも決定を先延ばしにしていると、ライバルに先手を取られたり、あっという間に世の中の動向に後れをとったりしかねないからだ。
しかし、必要な情報を収集して頭を整理しても、いざ決断・実行の段になると一歩を踏み出すのが難しいのも事実だ。「行動しようと思っても、つい迷ってしまう」「やるべきことをためらいがちだ」という悩みを抱えている人は多いだろう。
そこで参考になるのが、誰でも「即断即決、即実行」ができるようになる効果的なコツをまとめた『ゼロ秒思考[行動編]』(赤羽雄二著、ダイヤモンド社刊)だ。本書は、累計34万部を超えるベストセラー『ゼロ秒思考』で紹介した「メモ書き」をベースに、ビジネスパーソンの「行動力」を高めることに力点を置いた1冊で、いまの時代に必要不可欠なスピード感のある「決断力」と「実行力」を身につけるためのノウハウを丁寧に解説している。
SNSでは「今すぐ行動できるようになった」「自分の成長を感じられる」とトレーニングの効果を実感している人々の声が相次いでいる。
今回は 『ゼロ秒思考[行動編]』より一部を抜粋・編集し、仕事ができる「勝ち組」になるために必要な「即断即決、即実行」について詳しく説明する。(構成/根本隼)

本当に仕事ができる優秀な人が大事にしている「特別な習慣」とは?Photo:Adobe Stock

多くの人が「即断即決、即実行」できない理由

 みなさんにぜひ目指してほしい「即断即決、即実行」とは、意思決定をぐずぐず先延ばしにせず、その場で決めて、即座に行動に移すことだ。しかし、多くの人はそれができない。その理由は2種類あるようで、①どうしていいかわからないときと、②本当はわかっているのに直視したくないときだ。

 ①どうしていいかわからないときとは、何が大事か、何を見てどう決めていいかもわからないので、方向性を定められない。何も見当がつかないという状況だ。しかし本当は、何を見るべきかを他の人に聞き、ああでもないこうでもないと議論すれば、必要な情報を何とか集められることも多い。

「どうしていいかまったくわからない」と自分では思っていても、人に聞く、聞ける人を探すなどはたいていの場合できることだ。わかるのが怖いので、わかろうとする努力に踏み切れないということがほとんどなのではないだろうか。

行動が遅れると事態は悪化する

 ②本当はわかっているのに直視したくないときは、「臭い物にふた」に近い。確かに、行動しないほうが、その一時は楽だ。それで問題が解決したり通り過ぎてくれたりするならいいが、当然そんなことは起きない。大きな問題になる。その場で動かなかったばかりに事態は悪化する。

 状況を直視して本気で考え、何をすべきか整理し、手遅れにならないように対処するほうが、目をつぶるよりよほどいい。ところが、直視したくないばかりにずるずる遅れ、あとで後悔ばかり残ることになる。

ためらいや迷いは時間の無駄

 前者は「即断即決」ができず、後者は「即実行」ができないということになるが、どちらも、本当に武器を持って戦う戦場であれば、命がいくつあっても足りない。仕事では、即座に命取りにならないこともあって甘さが許容されるが、徐々に、あるいはある時点で急激に競争力を失って、どうにも挽回ができなくなってしまう。実は、戦場と大きく変わるものではない。

 他の人が絡まない自分だけの問題でも、どこに就職するか、いつ転職するか、どういう資格を身につけるかなど、即断即決、即実行しないと機会ロスがかなり大きい。場合によっては、かなり痛い目にあうこともある。

 検討を深めることと、いつまでも決定を引き延ばすことは、実のところまったく別の話だ。即断即決、即実行によって検討をさらに深めつつ、前に進むスピードは落とさずに推進していくことができる。そして、ためらい、迷い、躊躇、逡巡にほとんど価値はなく、時間の無駄なのだ。

優秀な人は「即断即決、即実行」が習慣になっている

 実際のところ、私が出会った本当に優れたリーダーは、即断即決、即実行に長けている。ほとんど躊躇しない。明確なビジョンを持ち、全体を常に見渡している。代替案も全て頭に入っているので、状況が変わっても即断即決、即実行ができる。

 どこからどういう情報を取ってくればいいか、それをどう整理すべきか、リスクをどのように抑えるべきか、そういったことに慣れている。

先手を打つことで好循環が生まれる

 たとえば、急に事業提携の話が持ち込まれたとき、優れた経営者であれば、部下なり外部のスタッフを使って最速で提携候補の会社の情報を集め、裏を取り、事業提携すべきかどうか、するとしてもどういう条件でまとめるべきかを明らかにし、決定できる。

 旧態依然とした日本の大企業のように何ヶ月もかけて検討しようとすると、いい案件は他の会社に横取りされてしまう。時間の猶予があればいいが、現実にはトップがすぐに決断するしかないことも多々ある。

 即断即決、即実行をした会社と経営者には、多くの場合、先手を打ったことによる好循環が始まる。早く動いたのでいち早く情報が入り、その結果よりよい判断ができ、強力なパートナーを得て、好条件で事業を進めることができる。事業展開はさらに加速していく。

即断即決と「猪突猛進」は別物 

 ただし、即断即決といっても、「猪突猛進」ということではない。猪突猛進とは「周囲の人のことや状況を考えずに、1つのことに向かって猛烈な勢いで突き進むこと」であり、選択肢は何もない。前しか見ないし、落とし穴にも気づかない。全体観も柔軟性もない。

 そうではなく、今どういう状況にあるのか、全体像がどうなっているのか、どういう選択肢があるのか、選択肢のメリット、デメリットを比較するとどうなるのか。そういったことを全部把握したうえで最善手を選ぶ必要がある。

もちろん、進むことを決めたら、しばらくは迷わず、全力投球で目の前の壁を乗り越えることに集中する。その間だけは猪突猛進的な突破力が活きるが、全力で走りながらも周囲に注意を払い続けることはどうしても必要だ。

 しばしば、「猪突猛進」で成功している人もいるように思えるかもしれないが、それはたまたまよい時期にその人を見ているに過ぎない可能性が高い。即断即決、即実行は、考えずに行動することでは決してない。このことは強く意識してほしい。

(本原稿は、『ゼロ秒思考[行動編]』から一部を抜粋・編集したものです)