鉄道への造詣が深い地理・地図研究家、浅井建爾氏の新著『読めば読むほどおもしろい 鉄道の雑学』からの抜粋で、鉄道にまつわる素朴な疑問をわかりやすく読み解く。今回は、電車の遅延にまつわるネタをお届け。アクシデントにより乱れたダイヤはどうやって正常に戻しているのか? 電車の遅れでイライラすることも多いだけに、誰もが気になる疑問だ。
ダイヤを正常化するための
「運転整理」と呼ばれる作業
列車は定刻通りに発着するのが望ましいが、ときとしてダイヤが大きく乱れてしまうことがある。
ダイヤが乱れる原因はいろいろある。大雨や強風など、事前に予想できる場合はダイヤを調整する時間もあるが、列車や信号機の故障発生、人身事故の発生や路線への人立ち入りなどでは、ダイヤを急遽、調整せざるを得ない。
トラブルが発生したとき、どのようにして遅れた列車を正常なダイヤに戻しているのだろう。列車の遅延を引きずったまま運行を続けていけば、発着本数の多い大都市を走る路線では、たちまち後続の列車に影響を及ぼし、ダイヤが大混乱に陥る可能性がある。乗客への影響を最小限に抑え、一刻も早く正常のダイヤに戻すことが鉄道会社に課せられた使命である。
そこで、ダイヤの乱れを敏速に通常の運行に回復させるための、「運転整理」と呼ばれる作業が必要になってくる。