鉄道は知れば知るほど面白い。鉄道への造詣が深い地理・地図研究家、浅井建爾氏の新著『読めば読むほどおもしろい 鉄道の雑学』からの抜粋で、初心者もマニアも、日ごろ抱いている鉄道にまつわる素朴な疑問をわかりやすく読み解く。今回取り上げるのは、地下鉄にまつわる疑問。
地下鉄は、深ければ深いほど
料金も上がっていく?
東京メトロと都営地下鉄の運賃を比べた場合、都営地下鉄のほうが高いことはほとんどの人が気づいているだろう。料金体系を比べると、初乗りこそ東京メトロ170円、都営180円とあまり変わらないが、以降は東京メトロが7~11km(1km未満の端数は切り上げ)200円、12~19km250円、20~27km290円、28~40km320円であるのに対し、都営は5~9km220円、10~15km280円、16~21km330円、22~27km380円、28~46km430円と、距離が長くなるにつれて差が開いていく。
運賃は当然ながら収益性を反映したもので、収益性には開業年度とエリアが大きく影響してくる。戦前から高度経済成長期までに5路線(銀座線・丸ノ内線=1954年、日比谷線・東西線・千代田線=1969年)を開業していた東京メトロに対し、都営地下鉄は浅草線の1960年が最初で、三田線が1968年の開業だ(全通1976年)。遅ければ遅いほど用地確保に資金がかかるが、地下鉄の場合、後発になるほど深い地中に建設する必要があるので、その分の費用が大きい。