(4)高齢者の生活保護が減る

 無年金、あるいはごく少額の年金しか受け取れない高齢者で、経済的に困窮している方は生活保護を利用する場合が少なくない。

 つまり年金を多く支払うと、生活保護の支出を抑える効果がなにがしか働くはずだ。

 自治体等での生活保護に関連する事務(一部には陰で「水際対策」などと呼ばれる意地悪行為も含まれる)が減るのもいいことだ。もちろん受給者にとっても、生活保護で受け取るより年金としてお金を受け取る方が気分は良かろう。

(5)お金の使い道は自由だ!

 経済対策や何らかの給付を検討する場合、率直に言うなら利益誘導の力学や、他人に対するお節介の心が働いて、「使用目的」を限ったものが提示されがちだ。

「教育クーポン」「家賃補助」「地域振興券」「商品券」「Go To何々」の類いだが、これらに望ましい側面があるとしても、利用者・業者の両面で受益の大きさに濃淡が生じる。いわば、政府による国民生活への介入だ。

 付け加えると、使用目的を限った支給策には、行政側でも利用者側でも、多大な手間がかかる場合がある。

 その点、現役世代の年金保険料の徴収をやめ、月額1万6610円手取り収入を増やして、使える現金を渡す方法なら、受益者は「自分にとって最も良いと思うお金の使い道」を自由に考えることができる。

 党名に「自由」と入る党の政策にふさわしい。河野氏が総裁を目指している政党の名前は、「利益誘導党」とか「国民指導党」ではなかったはずだ。