Xさんは誘いを快諾し、Bさんと一緒にチームを率いることになったが、この決断は逆効果となった。というのも、Bさんはリーダー就任直後こそ不安を感じていたが、次第にやりがいを感じ、自分なりに計画を立て始めたという。だが、Aさんはそれを知らずにXさんを連れてきた。一度やる気になっていたBさんは「やはり自分は力足らずなのか」と寂しさを覚えたという。

 次第に、XさんとBさんの仲はぎくしゃくし、周りのメンバーもBさんの気持ちを知っていたため、Xさんと壁ができた。結局、Xさんは自分からプロジェクトを降りてしまったという。

 リーダーがメンバーの感情を理解せず、チームの雰囲気が悪くなる。そんな例はどこにでもあるだろう。では、どうすればよいのか。ポイントとなるのが、「EQ(感情知性)を高めること」だという。

「EQとは、1990年代に提唱された理論で、自分や他者の感情を理解したり、適切に表現したりする能力のことです」

 EQは年齢に関係なく開発できるものであり、誰でも高めていけるという。その高め方はシンプルで、まずは自分や他者の感情を知る。次に、それに適した行動を選ぶ。そうして、自分やチームの目標達成などに生かすというもの。「知る」「選ぶ」「生かす」の3ステップを繰り返すことが重要なようだ。