コンピューター用半導体の世界的な供給不足が続く中で、医療機器メーカー各社は供給確保の競争で優位に立つための切り札を見つけたという。それは自社の製品が人の命を救うということだ。世界の半導体供給量のうち医療機器に使われる割合は、自動車や消費者用電子機器向けと比べればほんのわずかにすぎない。しかし、医療機器向けの半導体は、磁気共鳴画像装置(MRI)やペースメーカー、糖尿病患者の血糖値モニターなど命に関わる多様な機器の主要部品となる。大手の需要家よりも優先的扱いを受けるために、医療機器メーカー各社が最も効果的だという方策は、こうした点について半導体供給企業の幹部の認識を高めることだ。「新型コロナウイルス下で治療に不可欠な医療機器を停止させる張本人になりたい者は一人もいない」。富士フイルムソノサイトの事業部担当副社長、マイク・アリーナ氏はこう話す。「CEO(最高経営責任者)や上級副社長と話をすれば、彼らは助けになりたいと非常に前向きに応えてくれる」。同社は富士フイルムの米国子会社で、携帯型の超音波診断装置を製造している。