日本の最大輸入国である米国は、日本向けに多少増産することは可能だが、米国内や中国などの大豆需要が増えているので、日本だけに大量の大豆を輸出する余裕はない。一方、世界最大の大豆生産国であるブラジルはどうかというと、「大豆生産のために森林伐採を進めている」といわれている。

 日本が、ブラジルから大豆の輸入を増大させることで、CO2を吸収してくれる森林伐採が加速されれば、何のためにわざわざ代替肉を食べるのか趣旨が分からなくなる。森林伐採が進めば、牛のゲップを減らすことより、深刻な温暖化をもたらすことになるだろう。

大豆輸入量の増加により
遺伝子組み換え大豆を食べる可能性も

 世界の大豆生産量は、2020~21年の予測値で、ブラジルが35%、米国が32%、アルゼンチンが14%、3カ国で世界全体の約8割を占める(大豆をめぐる事情・農水省から)。

 世界の遺伝子組み換え大豆は年々増えており、総栽培面積の8割を占めている。日本が今まで以上に大豆の輸入を増やすとすれば、遺伝子組み換え大豆しか手に入らなくなる可能性が高い。

 現状でも、輸入大豆を使用している納豆や豆腐は多いが、市販品のほとんどは、なんとか非遺伝子組み換え大豆を入手することができている。しかし、世界的に非遺伝子組み換え大豆が少ない中、新しく流通する大豆肉用に非遺伝子組み換え大豆を入手することは、相当困難だろう。

 ただ「飲食店では原材料表示の義務はない」ので、店側に確認しなければ、どんな大豆が使われているのか、わからないまま食べることになる。