日本企業もスピンインを活用してイノベーションを起こす潮時が来ている日本企業もスピンインを活用してイノベーションを起こす潮時が来ている Photo:Robert Daly/gettyimages

 最近、日本企業がオープンイノベーションに真剣に取り組む兆しがある。あらゆる業種・業界でデジタル化が進行する中で、既存企業の敵は競合企業ではなく、新興企業だと気付いたのだろう。例えば銀行にとっては、他の銀行が敵ではなく、フィンテック(新しい金融技術)が包含されたさまざまなサービスの出現が脅威となってくる。

 オープンイノベーションに本気で取り組み始めた企業に共通するのは、経営トップが覚醒し、危機感を持っていることだ。経営トップの真剣さが社員に伝わることで、社員も真剣になる。

 ただし、経営トップが本気になっても、困難は付きまとう。代表的なものが、組織に根付く既得意識だ。特に研究開発部門や事業部門の技術やサービスの開発部隊における既得意識は強く、経営トップといえども、組織を大胆に動かすことは難しい。また、組織の既得意識のせいで、イノベーションへの意識が高い社員の発言や行動が抑制されてしまうこともある。

 そこで、打開策として「スピンイン」を提案したい。

 自社内の人材と知識を社外に切り出し(スピンアウト)、スタートアップ企業として育成し、目標を達成したところで自社内に再び取り込む(スピンイン)のである。