ゲームは言葉を超える
新世代のコミュニケーション

入山 今のお話で思い出したことがあって、少し話してもいいですか?

尾原 はい。

入山 今、僕の家族は一時的に海外に住んでいて、子どもは現地のインターナショナルスクールに通っています。でも、英語がぜんぜん話せない。初めての海外経験で、まったく言葉が通じないところに放り込まれて、しかもコロナ禍で全ての授業がオンラインです。

尾原 オンラインじゃなかったら非言語でコミュニケーションが取れて、友達関係が作れる。でもオンラインだと難しいですよね。

入山 そうなんです。オンラインなので、そもそも休み時間とかに友達と話すことがないんですよ。だから、めちゃくちゃかわいそうで……。悪いことをしたなと思っているんですが、「今はしょうがないから頑張れ」と言っています。

 一方で、うちの子どもはゲームが好きで、「Apex」を毎日死ぬほどやっていて、今も日本の友達とゲームでつながっているんですよね。

尾原 ああ、なるほど。

入山 学校で友達と英語が話せないから、友達と日本語でつながる唯一のコミュニケーションが、ゲームなんだなと思って……。

 そうしたら何が起こったかと言うと、インターナショナルスクールの先生から連絡があって、ZOOMで話をしたんですよ。

 先生は、「僕の子どもが学校になじめていない」と。それはなじめるわけがないですよね(笑)。

尾原 (笑)。

入山 「オールオンラインの状況で、言葉が話せない外国人がクラスになじめると思うか!」と思って(笑)。

 いろいろ話していたら、「どうすればみんなと仲良くなれますか?」「お子さんは家で何をしていますか?」って話になったんです。

 なので、「日本人の友達と、ずっとオンラインでつながってゲームをしています」と言ったら、「うちのインターナショナルスクールにもゲーム好きはたくさんいますよ!」と。

尾原 ああ、いい話ですね。

入山 「インターナショナルスクールに通っているアメリカ人や韓国人のゲーマーたちをお子さんにつなぐから、まずはゲームで交流を図りましょう」ってなって(笑)。

尾原 すごい! ゲームだったら言葉がいらないですもんね。

入山 謎の展開になっていて、めちゃくちゃおもしろいなと思って(笑)。

尾原 しかもApexって、本当にコアでハードなゲームなんですよ。

入山 そうなんですか?

尾原 そうなんです。だからApexで「コイツやるな」ってなると、めちゃくちゃリスペクトされるんです。

入山 あははは(笑)。

尾原 寡黙なスナイパーって感じでめちゃくちゃ尊敬される存在になるかもしれません。それってものすごくいいことですよ。

 うちの子どもも海外の学校に通っていた時に、最初は友達と話せなかったけど、ゲームで仲良くなりましたし。

入山 やっぱりゲームきっかけなんですね。教育機関であるインターナショナルスクールがゲーマーを斡旋(あっせん)するなんて、まさに新時代だなと思いました。