千田嘉博さん
「城攻めしたくない山城」ベスト10

 1位 杉山城
 土の城の芸術品ともいわれる緻密な縄張りで知られる山城。遺構の残存状態は良好で、堀や土塁、馬出しなどが一目でわかる。

 2位 向羽黒山城
 東北地方随一の規模を誇る山城。技巧の限りを尽くした複雑な縄張りが特徴で、歴代城主の蘆名氏、蒲生氏、上杉氏の手が入っている。

 3位 高崎山城
 別府湾を望む高崎山に築かれた城。豊後の守護大名大友氏の詰城と考えられている。山頂付近には土塁や主郭の跡が残っている。

 4位 岩櫃城
 天険の要害である岩櫃山に築かれた山城。豪壮な岩山は見るものを圧倒する。主郭部分周辺の巨大な竪堀も見どころ。

 5位 古宮城
 武田氏と徳川氏の勢力圏が接する境界域に築城された境目の城。白鳥神社の神域が含まれているため城跡の保存状態は良好。

 6位 春日山城
 越後長尾(上杉)氏の居城。巨大な山城で、本丸下には無数の曲輪が段状に築かれていて、攻め落とすことは極めて難しい。

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 7位 今帰仁城
 沖縄の城(グスク)を代表する一つ。城壁に上ると、中国や西欧の城と同じく城壁で守る城であることがよくわかる。

 8位 勝山館
 夷王山山麓の台地上に建つ山城。主郭内部には中央通路があり、その左右には掘っ立て柱建物が並んでいたことが発掘により判明した。

 9位 岡豊城
 長宗我部氏の居城。畝状空堀群が特徴的。帯曲輪の城壁の外側は土で、内側に石垣を用いる特異な構造を見ることができる。

 10位 信貴山城
 松永氏の居城で、織田信忠に攻め落とされたが、山頂から延びる複数の尾根に築かれた曲輪群は見事で、技術的には優れた山城である。

千田嘉博(せんだ・よしひろ)/1963年生まれ。城郭考古学者。奈良大学教授。主に中近世の城郭の考古学的研究に取り組む。主な著書は『信長の城』(岩波新書)、『真田丸の謎』(NHK出版新書)、『城郭考古学の冒険』(幻冬舎新書)など。

(インタビュー構成/安田清人)

AERA dot.より転載