世界の紛争地図 すごい読み方Photo:PIXTA

今、世界は紛争やテロにあふれ、暴力の火種が燻っている。米中の覇権争い、中東での内戦や衝突、ミャンマーにアフガニスタン、そして友好とは言い難い近隣国に囲まれた日本の緊張など、キナ臭さは高まる一方だ。この緊迫した世界情勢を解説した新刊書『世界の紛争地図 すごい読み方』からの一部抜粋で、各地の紛争の背景をわかりやすくコンパクトに伝えていく。

中国の海洋進出で大混乱!
南シナ海にどんな価値があるのか

 近年、中国はすさまじい勢いで海洋進出をはかっている。その矛先は南シナ海にも向けられており、中国と東南アジア諸国の間で対立が生じている。

 南シナ海とは北は台湾、中国大陸南岸、東はフィリピン諸島、西はベトナムに囲まれ、南はボルネオ海に連なる海域のことで、海域内には南沙諸島(スプラトリー諸島)、西沙諸島(パラセル諸島)、東沙諸島(プラタス諸島)、中沙諸島などの島嶼が散在している。

 島嶼群は珊瑚礁などの小さな島々からなり、満潮時に水没してしまう島も少なくない。人が居住できなければ、島そのものの価値はほとんどないが、海上輸送路として、また資源の埋蔵地としての価値は非常に高いのだ。

 具体的にみてみると、まず世界の貨物の3分の1は南シナ海を行き交っている。北東アジアとインド洋を結ぶ海上輸送の大動脈である。