習氏の不動産バブル退治、新税案で猛反発に直面Photo:Kevin Frayer/gettyimages

 中国の習近平国家主席は不動産バブル抑制への願望を全く隠そうとしていない。だが、政府の内情に詳しい関係筋によると、住宅市場の投機封じ込め対策として検討している全国規模での不動産税導入を巡って、習氏は各方面から強い抵抗に遭っている。

 エコノミストやアナリストの間ではかねて、不動産税を導入すれば投機筋のコストが増し、価格を抑制できるとの指摘が多かった。そうなれば中間層の家計の負担が減り、富をさらに等しく分配するとの習氏の目標にも整合する。

 中国はここ10年、一握りの都市で特定の不動産に対して課税する実験を行ってきた。関係筋によると、習氏は今年に入り、4人の副首相の中で最も上位の韓正氏を責任者に起用し、不動産税の導入拡大を命じた。

 だが、不動産税への反発があまりに激しかったため、導入範囲を限定する方向で落ち着きつつあるようだ。一方、代替策として政府による手頃な価格の住宅提供が浮上している。

 習氏が40年にわたる不動産ブームの沈静化に乗り出したことで、すでに中国経済や国際金融市場には衝撃が走っている。習氏は経営危機に瀕(ひん)している中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)に対しても、救済の手を差し伸べる気配をほとんどみせていない。借り入れを膨らませていた他の不動産開発業者も苦境に追い込まれている。住宅販売は落ち込み、銀行は新規融資を縮小。不動産市場締め付けの影響は、7-9月期(第3四半期)の中国国内総生産(GDP)が急減速する一因にもなった。