もう一つが、「大阪最後の一等地」と呼ばれる梅田貨物駅跡地「うめきた」の再開発だ。大阪駅の北側に広がる24ヘクタールもの敷地では、2002年から第1期開発が始まり、2013年にグランフロント大阪が開業した。2009年に第2期開発ビジョンが策定され、2017年に開発事業者が決定。2020年に工事着手している。

 この大規模開発プロジェクトの根幹が、うめきた新駅だ。2004年に新駅構想が浮上すると、2014年に大阪市とJR西日本が新駅設置にかかる費用負担に合意し、2016年に工事が始まっている。2020年3月には、うめきた新駅と大阪駅を地下通路で連絡し、正式名称を「大阪駅」とすることが発表された。

 うめきた新駅は2023年春に開業し、おおさか東線が新大阪~大阪間を延伸する形で乗り入れる予定だ。なにわ筋線はうめきた新駅からさらに延伸する形で建設されるため、うめきたの開発となにわ筋線の建設は不可分の関係にある。

 新駅の設置にあたっては現在、新大阪から大阪環状線の福島駅まで大阪駅を迂回(うかい)する形で走っている梅田貨物線(東海道線支線)を移設の上、地下化する。うめきた周辺を分断する線路が地下化されることで回遊性が向上するとともに、ボトルネック踏切を除去できる効果もある。

 ただ、貨物線としての役割は変わらないため、うめきた新駅は地下駅ながら貨物列車が通過する非常に珍しい駅となる。余談だがJR西日本の担当者によれば、うめきた新駅前後の急勾配区間を通過する貨物列車は、編成の先頭と最後尾の両方に機関車を連結するプッシュプル方式で運行されるそうだ。