「幸せ」と「お金」の関係性

 英紙ガーディアンによると、形が悪い、変色しているといった理由だけで、米国で6000万トンもの食料が毎年、廃棄されています。生産されている食物の3分の1の量です!

 それは単なる氷山の一角にすぎません。米国人は毎年、1100万トンの衣類を廃棄しています。1100万トンです。これは食べ物よりタチが悪いです。食べ物と違って、衣類は生物分解に数百年を要するからです。つまり、ビニール袋や昨年使った携帯電話などと同じようにゴミ処理場にずっと残存し、徐々に環境を蝕んでいくのです。

 欧米社会は常により多くを追い求めます。ただ、「より多く」が果たして私たちの幸福のカギでしょうか? 研究によると、お金がもたらす幸福度は年収7万5000ドルでピークアウトすると言います。それ以上の年収を稼いでも、「より多く」は幸福という観点では効果がないようです。

 また統計によると、年収3万4000ドルでも世界で見ると上位1パーセントの富裕層に入ります。

 もし桃のシロップの容器がそれ以外のものを知らない子どもを感動させられるのであれば、私たちもそんなにぜいたくはいらないのかもしれません。

 あなたが買っているものの一部、もしくはそのほとんどが、あなたを幸せにはしていません。支出の一部は浪費なのです。単純明快です。

 あなたの生活にどれだけ目に見えない無駄があるのか、ちょっとした実験で実際に見てみることにしましょう。

 クローゼットを開けて、服を全部左側に寄せてみましょう。未使用のハンガーを手に取り、マスキングテープを貼って、服の右側にそのハンガーをかけましょう。

 そこから服を着てから洗い終わるたびに、その服をクローゼットの一番右側にかけましょう。時間が経つと、あなたが着る服に偏りがあることに気づくはずです。クローゼットの一番右側の服が、あなたがしょっちゅう着ている服です。

 やや中央寄りで、ハンガーの右側に位置するのが着てはいるものの、最近は着ていない服です。ハンガーの左側の服は、一度も手にしていない服です。この実験を長く続けるほど、あなたのクローゼット分布はより鮮明になります。

 何着の服が「現役」、つまりローテーションで頻繁に着ているのかがわかるのです。同様に、「活動停止」で決して日の目を見ることのない服の割合もわかります。

 ご心配なく。着ていない服を捨てる必要はありません。ただ、目に見えない無駄がいかにあなたの生活に簡単に入り込んでいるのか、考えるきっかけになってくれるとうれしいです。

 私たちの文化においては、欠乏マインドは単なる欠如、子どもの発育にとって障害だと見なされています。ただ、欠乏マインドを持って子ども時代を過ごしたことは、私にとってはある意味役に立ちました。欠乏とは強力な制約なのです。欠乏マインドのおかげで創造力、回復力、適応力、忍耐力のある人間に育ち、いまの私の生活を築き上げることができました。

 また、すぐには目に見えない無駄を見分けることができるようになったのも、欠乏のおかげです。あなたも自分の生活で、目に見えない無駄を特定できるようになりましょう。