ひろゆきが警告「日本語が読めない人の存在を忘れていませんか?」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、思考の原点をマジメに語った『1%の努力』は、34万部を超えるベストセラーになっている。
この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

読み書き計算は「当たり前」?

 ものづくりをする人は、基本的な学力はクリアしていると思います。

 要するに、読み書き計算の能力です。その条件は揃っているはずです。そういう人に囲まれると、今度は、どういうことが起こるでしょうか?

 じつは、世の中には、読み書き計算ができない人がいます。しかも、みなさんが思っているよりも多くの人数がいます。

日本語が読めない人たち

 読み書きが困難な人は「ディスレクシア」と呼ばれ、日本人の8%が該当すると言われています。また、算数の簡単な文章題や国語の読解問題でも、日本人の3人に1人は理解できていないということが話題にもなりました。

 そういう人がたくさんいることを、ちゃんと想像できているでしょうか。

 私たちの多くは、公立の小中学校を経て、高校は進学校とそれ以外の高校に分かれます。さらに、難関大学からFラン大学に分かれていき、最後は就職活動でふるいにかけられます。東京などの都心では、小中学校の段階で私立を選んでいる人も多いでしょう。

 つまり、18歳になるまでの過程で、学力による人との差が見えなくなっていく仕組みになっています。東大生の当たり前と、高卒の人の当たり前のあいだには、どうしても「バイアス」が生じてしまうのです。

「これくらいわかるだろう」という奢り

 さて、そうして社会に出てしまった人たちは、今度は、世の中に向けて商品を作ったり、サービスを提供するようになります。

 一度、分断されてしまった人たちが、また同じところ出会うというわけですね。そのときに、高学歴の人には大きな問題がぶつかります。

「こういう説明でわかるだろう」「この程度のことは理解できるだろう」という常識のズレを感じるはずです。

 日本の製品は、「説明書が分厚い」という特徴があります。たくさんの機能を付けても「ちゃんと説明書に書けばわかるだろう」という思考をしてしまうんですね。

 しかし、そこでスッポリ抜け落ちてしまっているのが、日本語の読めない人たちの存在です。「説明すればわかる」と思っていることは、実際には伝わっていません。

「説明書が不要」という視点

 この問題を解決するのが、「デザイン」の力です。世の中のトイレやお風呂は、説明書を読まなくても、なんとなくどこを押せば水が流れるのか、何をすればお湯に切り替わるのかがわかるようになっているはずです。

 こういう努力が、これから先は求められます。つまり、「説明書不要」の商品やサービスです。

 注文の仕方が難しそうなお店って、なんとなく入りにくくないでしょうか。その場合も、「ちゃんと流れに沿っていけばいいだけですよ」という敷居の低さがパッと見で伝わらないといけないのです。

 難しそうな機械でも、究極的には説明書なしでも操作がわかることが大事です。押せばいいボタンが数字で書いていたり、ボタンのデザインがわかりやすかったりする必要があります。

 つい、エリートの人たちは、この視点が抜け落ちてしまいがちです。「説明書が必要になっていないかどうか」を振り返ってみるようにしましょう。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。