「高校生クイズ」で史上初の2連覇を果たし、「東大王」や「QuizKnock」創設で日本のクイズ界を牽引する伊沢拓司氏。彼が2年半を費やした大著『クイズ思考の解体』では、クイズを愛しすぎた“時代の寵児”が、「クイズ本来の姿」を長大かつ詳細に、繊細だが優しく解き明かしています。本について、また、愛してやまないクイズについて、伊沢氏に語っていただきました。
――本書で「クイズの誤答」との向き合い方を理論立てて解説されています。競技クイズプレーヤーにとっても、これまで意識し語られることが少なかった視点なのではないでしょうか。
伊沢:アマチュアクイズの世界では、誤答というのは大変大事なテーマで、おそらくここに書いてあるようなことは頭の中では意識されてきたし、各所各所で議論はされてきていると思います。ただやはり、前提として置かなければいけない情報が多くて、早押しクイズはどういうものかとか、ルールにどのようなものがあるかとか、そういう説明なしには語れない領域なのでなかなか外に出ていくことのなかった情報なのかなと。
とはいえ、早押しクイズを語る上で誤答の扱いというのはとても大事な要素。誤答によるリスクが大きいか小さいかによって、早押しの攻め方も変わってくるので、誤答の話をしないと早押しを語りきれないのです。これだけ長く書ける本だからこそ、ここはしっかりと書きたいな、と思いました。中級編だからこそ、クイズプレーヤーが普段から気にしていることを普段のとおりに伝えられた、という感じです。
――「誤答」についての概念が変換されるきっかけになった画期的な解説だと興味深く読ませていただきました。