芥子粒とは、ケシの種子。極めて小さいもののたとえ。
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芥子粒(けしつぶ)
〔意味・由来〕 ケシの種子。極めて小さいもののたとえ。「芥子」+「粒」の三字熟語。「芥子」は、ケシ科の二年草。未熟な実から阿片がとれるため、栽培は厳しく制限されている。「芥子」は「からし」とも読み、カラシナの種子をひいて作った黄色の辛い香辛料をいう。「粒」は丸くて小さい物。
破滅的な思考の持ち主である太宰治は、随筆『困惑の弁』で自身のプライドを「芥子粒」に例えている。ある雑誌の懸賞会から原稿を依頼された太宰は、困惑する。明日の漱石、鴎外、ゲーテを志して天下に名を成そうとする読者に向けて書くことに困惑する。自分が大家ではなく悪名高い作家であるからだという。自嘲気味な太宰の文章を批判する声も多いが、「万事、あせってはならぬ。漱石は、四十から小説を書いた」「望みは高いほどよいのである」とさりげなく力強い言葉が続く。自虐の言葉の数々の中に、きらりと光る珠玉の言葉。太宰治が「芥子粒」などとは、とんでもない。膨大な自尊心が見え隠れする。
〔引用〕 ――私は今まで、なんのいい小説も書いていない。すべて人真似である。学問はない。未だ三十一歳である。青二歳である。未だ世間を知らぬと言われても致しかたが無い。何も、無い。誇るべきもの何も無いのである。たった一つ、芥子粒ほどのプライドがある。それは、私が馬鹿であるということである。(太宰治『困惑の弁』)
西角けい子(にしかど・けいこ)
ステージメソッド塾代表/学習コンサルタント/三字熟語研究家
オムロンを退職後、日本有数の大手塾の激戦区である兵庫県西宮北口にステージメソッド塾を開業。
国語力を急伸させる独自の「ニシカド式勉強法」により、わずか6ヵ月でごく普通の成績だった7名の塾生を日本一(全国版学力テスト)に育て、多くのマスコミから取材される。「お母さんの言葉がけ」と、「暗記力」「ノート力」「作文力」アップを重視した「ニシカド式勉強法」は定評があり、倍率10倍以上の超難関公立中高一貫校に、14年連続地域No.1の合格者を出している。片道3時間以上かけて通う小学生や新幹線や飛行機で通塾する中学生もおり、塾周辺に転居してくる家庭も多い。
ひょんなことから、国語の世界で影が薄い「三字熟語」のおもしろさに気づき、軽やかで、庶民的で、思わずクスッと笑ってしまう三字熟語にハマる。三字熟語ラブな思いが高じて、三字熟語クイズを作り始めた。夏目漱石や太宰治などの文豪が使う「三字熟語」の巧みな表現にしびれ、文豪の人間味や生き方に興味を抱き、文豪の出生地巡りや墓参りをしながら、「三字熟語」の探究を続けている。