日本銀行日銀の異次元緩和は賃金を目標にしなかったのが基本的な間違いだ Photo:PXITA

FRBがテーパリング開始を決定
依然、物価が上がらない日本

 米国ではFRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和の縮小(テーパリング)開始を決め利上げの議論が現実味を増すが、日本では物価がほとんど上がらない。

 それはなぜか。

 賃金が上がるから物価が上がるのであって、その逆ではない。日本の物価が安いことが問題なのは、それが安い賃金の反映だからだ。

 日本の物価を引き上げるには、賃金を引き上げる必要があり、そのためには技術革新を行なう必要がある。

 日本銀行の異次元金融緩和は、「賃金」でなく「物価」を政策目標としている点で基本的に誤っている。

賃金が低いから、
賃貸料や物価が安くなる

 筆者は2005年、米国スタンフォード大学に赴任して、大学の近くの「オーククリーク」という団地のアパートを借りた。2ベッドルームの快適な部屋だったが、新築でもなかったし特別に豪華な建物というわけでもなかった。

 その賃料がいまは月50万円ぐらいになっている!