サントリーホールディングスの新浪剛史社長の「定年45歳制」に関する発言が話題になり、議論になりました。2019年にもトヨタ自動車でも終身雇用に関する言及があったように、日本の労働環境が変革の時代に入ったことは確かでしょう。もし今後、想定より早い定年やキャリアチェンジが求められた場合、生き抜くための自身の能力と経済力が必要です。どのように準備すべきでしょうか。(社会保険労務士 井戸美枝)
日本の労働環境は過渡期へ
9月上旬、サントリーHDの新浪剛史社長が「(定年を)45歳にすれば、30代、20代がみんな勉強するようになり、自分の人生を自分で考えるようになる」との発言し、議論を呼びました。
制度面だけで見ると、現状「45歳定年制度」が実施される見込みはありません。定年の年齢が60歳を下回ってはいけないと定める「高年齢者雇用安定法」があるからです。
ただ、2019年にもトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言したように、技術革新や産業構造の変化などによって、終身雇用制度を維持できる企業は少なくなる可能性があります。早期退職を募るなどして、実質的に退職する年齢が下がることもあり得るでしょう。
また、日本経済新聞によると、全体の6割の企業が仕事内容を事前に定めた「ジョブ型雇用」を導入済み・導入を検討していると答えています。「ジョブ型雇用」は、職務内容を限定しない従来の「メンバーシップ型雇用」よりも、働き手のスキルがよりシビアに求められます。今、日本の労働環境は大きく変わろうとしているのです。
では、私たちは、この過渡期をどう過ごせば良いのでしょうか。