コロナ危機後の超金融緩和を転換
インフレ対応で新たな難問
米連邦準備制度(Fed)は、11月2、3日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、2020年3月から展開してきた大規模な資産買い入れを今月から縮小に転じること(いわゆる「テーパリング」)を決めた。
コロナ危機に陥ってから1年半余り、米金融政策は正常化に向けて動き出すが、この間に資産を約8.5兆ドルという未曽有の規模にまで大きく膨張させたFedの今後の金融政策運営には、新たな「難問」が待ち受ける。
5%を超えるインフレ状態が続いており、昨年8月に打ち出した、物価目標の2%を超えても一定程度の期間は緩和を続けるとしてきた「埋め合わせ戦略」との整合性をどうとるのか、だ。
へたをすればインフレ加速の対応が後追いになる懸念もある。そうなれば、日本銀行の金融政策の正常化の議論には全く手つかずのままで、財政も輪をかけて悪化している日本は試練の時を迎える。
そうした可能性はあるのか。ポストコロナの金融政策の課題と懸念を2回に分けて考えたい。