アトラス築地古い町並みが残る東京・築地で大型高級マンション「アトラス築地」が完成。一時は計画白紙の危機に直面したが… 写真:旭化成不動産レジデンス(左)、Kosuke Oneda(右)

銀座まで1km圏で古い町並みが残る東京・築地。ここに大型高級マンション「アトラス築地」が10月下旬に完成した。開発を担った旭化成不動産レジデンスが手掛けた物件では最大級。立ち退き困難とされていたエリアで、一時は計画が白紙撤回の危機に直面した。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

バブル期に地上げ屋が来ても
土地を手放さなかった

 海産物を中心とした小売店や飲食店などがある築地場外市場(東京都中央区)からほど近い築地6丁目に10月下旬、旭化成不動産レジデンスの大型高級マンション「アトラス築地」が完成した。

 ここは大正から昭和にかけて六軒長屋を中心に間口の小さな住宅が建てられ、土地をまとめるのが難しいとされて時代に取り残され続けた地帯だ。

 古い町並みが再開発できずに取り残されるのは、地元住民が変化を嫌がったり、高値転売を狙う地上げ屋が出てくるからだ。築地の近くでは中央区湊2丁目もそうしたエリアとして有名で、1990年代初頭までのバブル期の地上げで、老朽化した住居と開発待ちの駐車場用地が入り組んだ虫食い状態となり、2017年ごろにようやく再開発が完了した。

 銀座まで1km圏内、徒歩12分で銀座三越に行ける築地6丁目一帯についても、地元住民によれば「バブル期に多くの地上げ屋から土地買収の話があった」。当時は若年で地元愛が強い住民が多く、長期休業や移転の手間などを避けたい店舗経営者も土地を手放さなかったため、古い町並みはそのまま残された。

 10年代に入り、その住民たちがついに再開発に応じざるを得なくなった。