決算書100本ノック! 2021冬#2・ANAホールディングスPhoto:PIXTA

航空大手ANAホールディングス(HD)は今期黒字化を目指してきたが、中間決算のタイミングで無念の赤字予想に転じた。2期連続で大赤字を見込むことにより、「財務の三大恐怖」に直面する。特集『決算書100本ノック! 2021冬』(全16回)の#2では、ANAHDと日本航空(JAL)の決算書から「財務の三大恐怖」と併せて自己資本の質が悪化している実態に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「2期連続赤字というのは
会計ルールで厳しいものが出てくる」

 国内航空2強であるANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)がそろって2022年3月期の中間決算のタイミングで、今期大赤字の予想を明らかにした。

 JALは中間決算まで今期予想を開示しなかったのに対し、ANAHDは期初に今期の黒字を予想していた。ANAHDの片野坂真哉社長は1年前から「来年度(22年3月期)はあらゆる手を打ち、必ず黒字化を実現したい」と公言し、その意思が今期予想に表れていた。しかし、無念にも黒字化を撤回せざるを得なくなったのである。

 片野坂社長は前述の黒字化実現を公言した際に「2期連続で赤字というのはさまざまな会計上のルールで厳しいものが出てくる」とこぼしていた。

 その言葉通り、2期連続赤字になった業績悪化企業の宿命として、ANAHDは「財務の三大恐怖」に直面することになる。恐怖する事態が現実となって連鎖すれば、融資を行う金融機関の態度が豹変する可能性がある。

 三大恐怖の一つ目、ANAHD社内の関係者は1年前からこれを口にしていた。