三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に抱えるMS&ADインシュアランスグループホールディングスの目標は、海外大手保険会社と肩を並べること。そこで特集『決算書100本ノック! 2021冬』(全16回)の#1では、目標達成のために必要なコスト削減額を試算したところ、想像以上に厳しいコスト削減が必要だという結果が算出された。社員の人件費はどれくらい削減され、代理店手数料はどのような影響を受けるのか明らかにする。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
独自試算で判明!海外大手に並ぶための
人件費、ポスト、代理店のリストラ水準
ダイヤモンド編集部の独自試算により、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの人件費や営業拠点の運営に関わる費用の削減額、代理店手数料の行く末が判明した。
自動車保険や火災保険などを販売する損害保険会社であるMS&ADは、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険という、大手損保4社の3、4番手の2社を中核とする保険会社グループだ。
そんなMS&ADは「2025年度の正味事業費率31%台、将来的に同30%台」という具体的な目標を掲げていることに加え、「世界トップクラスの保険会社グループになる」という野望を抱いている。三井住友海上の舩曵真一郎社長も、世界トップクラスの正味事業費率は20%台であると、折に触れて発言。その実現に意欲満々だ。
では、実際にどうすれば同社が思い描く姿に近づくことができるのか。そこで今回、目標達成と正味事業費率20%台という野望実現のために、21年度からどの程度コストを削減しなければならないか、独自に試算した。
この事業費には、社員の人件費やポストの増減に影響する営業拠点の維持費、さらに代理店に支払われる手数料が含まれている。
その結果はまさしく、言うは易く行うは難し――。想像以上に身を削る改革を断行しなければならない実情が見えてきた。社員の人件費やポストに関わる費用はどれほど削減されるのか、代理店手数料にはどのような影響があるのか。リストラの水準を徹底検証した。