地方の高校などで長年続いている、始業前に行う補修時間、「朝課外」。生徒の学力向上につながるメリットがある一方、教師や生徒の負担になる側面もあり、賛否両論がある。慣習化している「朝課外」の本来あるべき姿について、名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授で、校則や教師の負担など多様な学校リスクを研究する内田良氏に聞いた。(清談社 田中 慧)
地方の学校を中心に
朝課外が広がった理由
朝課外とは、朝礼や1時限目の前に学校で行われる、補習授業のことを指す。所要時間は学校によって異なり、長いところでは45分ほど行う学校もあるようだ。内容としては、各教科のプリント学習や、教科書を進めるケースが多いという。
これまで朝課外について言及してきた資料を見ると、「1970年代には福岡県内で始まり、九州の高校で続いている」(西日本新聞)などとされている。ただ実は、北陸や東北といった地域でも、「朝学習」など別の呼び方で行われていたという。
1970年代は、1979年の大学共通1次試験の開始により、受験戦争が過熱化した時代とも重なる。朝課外は、学歴信仰が強まる社会のなかで、広まっていったのだ。