当初は、諸外国に比べて日本の検査数が極端に低いとする批判もあったが、検査体制も徐々に拡大されてきた。20年3月にPCR検査に健康保険が適用され、同年5月には最初の抗原検査キットが薬事承認を受けている。検査にかかる医療費(診療報酬)は、PCR検査が1万9500円、抗原検査が7440円(いずれも検査判断料含む)。

 通常の健康保険のルールでは、年齢や所得に応じた患者負担があり、かかった医療費の一部(1~3割)を医療機関の窓口で自己負担することになっている。

 だが、感染症の蔓延を防止する観点から、検査費用の自己負担分については公費負担されることになり、患者の医療機関の窓口負担が免除されている。たとえば、70歳未満の人が、1万9500円のPCR検査を受けた場合、公費負担がないと、3割の5850円を自己負担しなければならないが、無料で検査を受けられる措置が取られている(検査費用以外の初診料や再診料などは、通常通りの自己負担が発生する)。

 ただし、これまでは検査を受けたい人すべてに健康保険が適用され、誰もが無料で検査を受けられるわけではなかった。健康保険を使って検査を受けられるのは、発熱や味覚障害など新型コロナウイルスの感染を疑われる症状がある人、陽性者の濃厚接触者など、医師や保健所が必要だと判断した場合のみだった。

 そのため、「症状はないけれど、感染しているかどうか不安」「仕事をする上で、感染しているかいないか調べる必要がある」「海外旅行に行く」など、個人の希望や社会経済活動上の必要に迫られてPCR検査を受ける場合は、検査費用の全額が自費となっていた。

国の支援で無料検査範囲が拡大される
PCR検査と抗原検査

 だが、コロナ禍以前の暮らしを取り戻すためには、感染拡大を防止しながら日常生活や社会経済活動を継続できるように、行動制限を緩和していく必要がある。

 その安心材料として国が考えているのが「ワクチン・検査パッケージ」の活用だ。