他人の課題“だけ”をあきらめる
マモル:ただサラタメさん! そんなこといわれても、上司の評価が上がらないと、希望の部署に行かせてもらえないんです。だから実際問題、「コントロールできません」ってあきらめるわけにもいかないんですが……。
サラタメ:もちろんです!「他人の課題」である「上司の評価」を“確実に”上げることはできませんが、だからといって希望の部署まであきらめるべき、という話にはなりません。
「他人の課題」をあきらめることは、自分の希望をあきらめることではありません。
「他人の課題」から解放され、新たに生まれた時間と労力で、希望を叶えるための「自分の課題」を改めて洗い出してみましょう。
たとえば、マモルさんのケースでいえば、
・直属の上司より、さらに上位の役職者にアピールする
・自分が行きたい部署に所属する上司に直接アピールする
・直属の上司が評価せざるをえないほど、ダントツの数値実績をつくる
・不当な評価をしていると人事部に密告して、上司を異動させる
・その上司から離れるために異動や転職を検討する
マモル:なるほど……、洗い出してみると、意外に「自分の課題」としてできることが、いろいろあるもんですね。でも、サラタメさんみたいに「自分の課題」と「他人の課題」ってパキッと割り切れる気がしないんですよね……。
サラタメ:慣れるまでは、無理もないです。その原因は、私たち人間ならみな持っている「誰かに認めてもらいたい」という「承認欲求」にあります。この「承認欲求」のせいで、どうしても「他人の課題」まで気になってしまうんです。
「他人の課題」ばかりで頭がいっぱいになってしまうのは、人間の根源的な欲求の一つ「承認欲求」のせいです。
いい大学に行きたいのも、大手企業に入りたいのも、お金を稼ぎたいのも、誰しもその心の奥底には、「誰かに認められたい」「見くびられたくない」といった気持ちがあったりするものです。
人間なので、この「承認欲求」をゼロにすることはできません。
ただ、意識的にコントロールして、自分の人生が「承認欲求」に支配されないように努めることはできます。
「認められたいから、大手企業に入りたい!」という気持ちがあってもOKですが、その「承認欲求」以外に、「大手企業で○○したい!」という自己満足もあるなら、その気持ちを大切にしてあげましょう。
「誰かに認めてもらう」というのはあくまで「他人の課題」。それだけをゴールに生きていくと、裏切られたときに悲惨な結末になります。
特に、ビジネスの現場において「他人の課題」にばかり振り回されていると、目の前のやるべきことに集中できなかったり、無理に仕事を押しつけられたりします。
家族や友人との関係性では、「他人の課題」に積極的に関わったほうがいい場面もありますが、職場では「自分にコントロールできるか?」「そもそも自分がやるべき仕事か?」という視点で、取り組む仕事をおもいきって仕分けましょう。
(本原稿は、サラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』からの抜粋です)
・嫌いな上司の評価を変えようというのは無理な話
・「課題の分離」ができていない
・「上司の評価」はコントロールできない「他人の課題」
・「仕事の成果」「積極的なコミュニケーション」だけが「自分の課題」
・「自分の課題」を洗い出し、そこだけに注力しよう