ロシア、米国、中国…大国が利権を狙う「北極争奪戦」の行方は?Photo:PIXTA

世界は対立や紛争にあふれている。米中の覇権争い、ミャンマー、イラン核問題、イスラム過激派テロ、そして台湾の緊張や北朝鮮核ミサイルなど、キナ臭さは高まる一方だ。この緊迫した世界情勢を解説した新刊書『世界の紛争地図 すごい読み方』からの一部抜粋で、世界各地の対立と紛争の背景をわかりやすくコンパクトに伝える。今回は、各国が領有権や利権を狙う北のフロンティア、北極の争奪戦について解説する。

温暖化で資源採掘の可能性が増え、
航路としての利用価値も高い

 北極は氷に閉ざされた不毛の地と思われがちだが、そんなことはない。北極圏の氷の下には世界の未発見の原油の13%、天然ガスの30%、さらに金、ダイヤモンド、レアメタルなどの鉱物資源が埋蔵されているといわれる。

 これまでは北極で資源を獲得するのは難しかったが、地球温暖化の影響で海氷面積がどんどん縮小しており、資源採掘の可能性が高まりつつある。一説によると2050年までに夏になると氷がなくなるともいわれ、資源採掘の機会はますます広がる見込みだ。

 北極の経済的価値は資源だけにとどまらない。氷が溶けることによって、船舶の新航路が生まれるのだ。