感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』では、「期待」「不安」「選択」「好意」「悪意」「女王」「迷い」「決意」という8つの物語を通じて、多くの人が抱えがちな不安や悩みの解決法を説く。この自身初の小説の刊行を記念し、小説を書くに至った経緯や物語に込めた思い、作品に出てくる珠玉の言葉の一部などをお届けする。

【初の執筆で珠玉の小説】<br />驚異の偏差値85を記録した<br />現役医師の国語力イラスト:カツヤマケイコ

現代文の模試で「偏差値85」を記録

Twitterで毎日複数件ツイートし、ブログや本を書いてきたアテクシは、文章を書くことが大好きです。

あらためて振り返ると、高校生の頃、異常に得意な科目が「現代文」でした。アテクシは、某中高一貫校に通っていたのですが、当時、某大手予備校にも通っていました。

その某大手予備校の模擬試験の現代文で「偏差値85」を出したことがあります。

予備校の国語科には面白い講師がたくさんいて、筒井康隆の作品が好きになったのも、当時の講師にすすめてもらったからです。

あるとき国語の講師が「誰も解けないと思います」と言いながら、小テストを出したことがありました。

翌週返すときに「平均点が35点だけど、1人だけ満点をとった人がいます」と言い、その満点をとったのがアテクシでした。

思い返すと、小中学生の頃から作文の宿題も得意で、書き上げた瞬間に「なんでこんなにうまくできたんだろう」と自分で気味悪く感じることもありました。

高校の文化祭で突如、脚本家に抜擢

文章の創作意欲が高まったのは、高2のときの文化祭の影響が大きいです。

アテクシは中学生の頃から“文化祭マスター”みたいなところがあって、そのときの担任の先生から「おまえ、演劇をやってみろ」と言われました。

同じ学年の各クラスから数名ずつ有志が集まってチームを結成し、演劇をする企画が通ったから、アテクシに脚本を書けというのです。

「脚本なんて書いたことないし、書き方もわかりません」と言ったら、「書き方は調べなさい」と言われ、国語の先生から話を聞いたり、図書館でト書き(脚本で登場人物の出入りや動き、場面の状況や照明・音楽・効果などの指定をせりふの間に書き入れたもの)の基本などを学んだりするところからはじめました。

調べてみると、原稿用紙1枚がおよそ1分の上演に相当することがわかりました。

上演時間は50分ですから、単純計算で50枚書かなければなりません。

そんな長い文章を書いた経験はなく、受験勉強も控えていましたから、「そんなに書く時間があるのかな」と不安な気持ちに襲われました。

ともあれ、実際に書きはじめると楽しくなり、2~3か月で完成させることができました。

(構成:渡辺稔大)