銭湯について厚労省がまとめたデータによれば、一般的な東京の銭湯の湯温42~43℃は高すぎるという。38℃以上になると心拍数、心拍出量などが増加、42℃以上の高温浴は交感神経を緊張させる作用があるのだそうだ。

 交感神経が緊張すると、血管を収縮させ、急に血圧を上げてしまう。つまり、熱いお風呂では体はリラックスせず、緊張してしまうのだ。血圧が20~40mmHgぐらい上がるそうなので、高血圧や動脈硬化の心配がある中高年以上は要注意である。

 リラックスするには交感神経が働かず、血液循環は高くなる38~40℃付近が良いとのこと。東京都浴場組合でも38~40℃のお湯に15分程度の入浴を勧めている。

 ストレスを最大に解消する入浴方法は何か。

 入浴剤メーカー大手のバスクリンの研究では、そのポイントは体温にあるとのこと。

 同社は男女58人を対象に40℃の湯に15分間の入浴をしてもらい、5分ごとに舌下温度を測定。また、試験前後には唾液中のストレスマーカー、αアミラーゼの活性を調べた。αアミラーゼが活性化するとストレスを感じている。ストレスがなければ、活性度が下がる。

 そして、体温の変化とαアミラーゼ活性の関係を調べたところ、体温が平均1.14℃上昇した人たちだけでαアミラーゼ活性が下がった。体温上昇がそれ以下のグループでもそれ以上のグループでもストレスの改善はあまり見られず、逆に約1.6℃以上体温が上がった人たちは息苦しさを訴えた。つまりストレスが上昇したわけだ。

 この結果からわかることは、一番リラックスできる入浴は、体温が約1.1℃上がるように入ればいいということだ。

 バスクリンの実験では、40℃の湯温での入浴で体温が1.14℃上がるまでにかかった時間は、男性が13.60分、女性が16.41分だった。だが、性別や年齢、体形で体温上昇にかかる時間は変わるため、あくまで目安とすべきだろう。