デジタル装備関連では、先行デビューしたフラッグシップのSクラスから多くを受け継いでいる。最新の運転支援システムはもちろん、片側130万画素のLEDヘッドライトやARナビゲーション、リアアクスルステアリングなどが、その代表例だ。

 内外装の基本デザインもSクラス譲り。最新メルセデス共通造形でまとめられた。新型は190E以来、最もSクラスに似たCクラスになった。デザインに加えて内容もSクラス譲りであるという点こそがW206型の凄みだ。

パワフルで力強い走り
さすがの完成度を誇る

 試乗車はC200アバンギャルドのAMGライン&リアアクスルステアリング装着車。パワーユニットは、新開発1.5L直4ターボ(M254型・204ps/300Nm)に15kW電気モーターを加えた48VのISGシステムを積む。ボディサイズは全長×全幅×全高4785×1820×1435mm。旧型と比べると全長は80mm長く、全幅は10mmワイド、全高は5mm高い。かつて“コンパクトメルセデス”と呼ばれたCクラスも立派になったものである。ただし、サイズは大きくなっても取り回し性が悪化していないのがメルセデス流。リアアクスルステアリング車の最小回転半径は5m。非装着車でも5.2mと旧型比で小回りが効く。車重こそやや増加しているが、より使い勝手がよくなったのは評価ポイントだ。

 走り出してすぐに力強さを実感した。旧型に比べて明らかに出足が鋭く、その後の常用域におけるトルクの厚みがはっきりと頼もしい。中間加速も鋭さが増しており、非常に扱いやすい。エンジンで20ps/20Nm、モーターで5kWパワフルになった効果は明白。比較のため旧型に乗り換えて、そのパフォーマンス差に驚いたほどだ。

 新型は、モーターをエンジンとミッションとの間に組み込んでいる。これにより一段と効率的にアシストできるようになった。しかもエンジン再始動時の振動は皆無。回生ブレーキやコースティングのスムーズさも見事だ。

 似合わないとは思いつつ、峠道を意識的に攻め込んでみた。スポーツ性が売り物のセダンでないにもかかわらず、ハンドリングは正確。足回りもよく動いており、安心して踏み込んでいける。懐が深く、簡単には破綻しない。高水準のシャシー性能は全域における安心感の源になっている。

 不満は常用域のブレーキフィール。軽く踏んで減速したい場合に思ったほど制動しないことがあった。制動能力自体は高いが、コツをつかむのがちょっと難しい。